コンパクトデジカメは絶滅するか?――一眼への“志向”、スマホへの“依存”、中国勢の“加速”まで イントロダクション:縮む「量」、揺るがぬ「価値」まず事実から。業界統計では、レンズ一体型=いわゆるコンパクトデジタルカメラ(以下、コンデジ)の2023年世界出荷は約172万台(前年比82.6%)。さらに2024年見通しは152万台(88.4%)と、数量で見れば“絶滅危惧”の様相です。同じ年でもミラーレスは**118.6%と伸び、「量」の主役は一眼(特にミラーレス)**へ完全に移りました。CIPA では“コンデジという生き物”は消えるのか。答えはノー。消えるのは**「低価格・汎用の大衆機」であって、「体験や用途で尖った固定レンズ機」は、むしろ存在感を強めています。プレミアム固定レンズ、タフ機、Vlog特化、高倍率トラベルズーム――“スマホに無い価値”へ棲み分け**が進んでいるのです。TechRadar 1.なぜ「低価格コンデジ」は消えたのか1-1. スマホの計算写真が“並の画質”を塗り替えた被写体認識・多枚合成・夜景のノイズ低減・HDRの自動最適化。スマホは撮る・選ぶ・直すの体験をポケットの中で完結させ、「わざわざ持ち替える理由」を消しました。ハードも急伸しています。たとえばXiaomi 14 Ultraは1インチ・LYT-900+無段階可変絞りに75mm望遠&120mmペリスコープまで積み、OPPO Find X7 Ultraはデュアル・ペリスコープで“14〜270mm級の画質レンジ”を謳うなど、ハード×計算の複合で“旅行スナップの9割”を呑み込んでいます。Xiaomi+1OPPO+1 さらにvivo X100 Proの独自ISPや、HUAWEI Pura 70 Ultraの1インチ・可動(ポップアウト)主カメラも、低照度や望遠の“弱点”を補う追い風。スマホ=常時携行の最良が、低〜中価格帯コンデジの存在意義を希薄化させました。vivo.com+1HUAWEI 1-2. 価格と携行性の“最後の壁”が崩れた「常に持っている」ことが最大のスペック。ペリスコープ望遠やAI補正の進化で、“もう一台”を持つ動機が消え、売れ筋数量は急減。2023→2024のコンデジ見通しの縮みが、その構造変化を物語ります。CIPA 2.一眼に“上がる”人たち:スマホが階段の下段になったスマホで写真熱に火がついた層ほど、「もっと表現したい」→ミラーレスへ。CIPAの2023年実績で交換レンズ式は前年超え、ミラーレスは二桁成長。**中価格コンデジが担っていた“中間の段差”**が不要になり、**下(スマホ)と上(ミラーレス)**の二極が太った格好です。CIPA 3.それでも“残る”コンデジ:4つの生態ニッチ3-1. プレミアム固定レンズ(大センサー)FUJIFILM X100VIは発表直後から世界的な供給不足。クラシカルな操作感×撮って出しの色という“体験価値”が、スマホでは代替しにくい需要を生み続けています。RICOH GR III/IIIx HDFは、ポケットAPS-Cに**新開発HDF(ハイライト拡散)**を載せ“質感”で差別化。デジカメinfoTechRadarRICOH IMAGING 3-2. タフ・水中・過酷環境OM SYSTEM Tough TG-7などのラギッド機は、壊したくない場で合理的。防水・耐衝撃・耐寒に“無神経”でいられる価値は、スマホケースでは代替困難です。OMデジタルソリューションズ株式会社 3-3. Vlog/動画特化Sony ZV-1 IIやCanon PowerShot V10といったVlogコンデジは、音・画・UI・端子の“配信一発”で差別化。スマホの編集地獄を避けたい層に刺さります。SonyCanon(Japan) 3-4. 高倍率“旅ズーム”1型+15〜30倍級ズームのトラベル系は、小型ボディで望遠を確実にという明確な価値。いまも購入ガイドの定番カテゴリとして残っています。TechRadar 4.技術面の「いま」と「限界」4-1. センサー/AF/動画コンデジの上限を押し上げたのは、1.0型の積層CMOS(Exmor RS)やリアルタイムトラッキングAF等を詰め込んだSony RX100 VIIの系譜。24-200mmの実用域で20fps無ブラックアウト、瞳AF、外部マイクまで――“小さな万能選手”の完成度は高い。ソニー+1 4-2. しかし「進化速度」はスマホに及ばないスマホはSoC/ISP/AIを毎年刷新し、可変絞り・デュアルペリスコープ・大型センサーを量産で回す。一方、コンデジはモデル更新サイクルが長く、センサー調達の規模の経済でも不利。**Panasonic ZS200(1型+15倍)のような良機はあるが、“年次アップデートの速度”**で置かれがち、というのが正直な現状です。Shop Panasonic USA 5.中国勢の「追いつき」と「別方向からの追い越し」5-1. スマホ撮影の前線で主役化前述のXiaomi 14 Ultra(1インチ+可変絞り)、OPPO Find X7 Ultra(世界初のデュアル・ペリスコープをうたう)、vivo X100 Pro(独自ISP×Zeiss)、HUAWEI Pura 70 Ultra(1インチ・可動主カメラ)など、中国OEMがイメージングのハード革新を主導。この“前線”が、従来コンデジの守備範囲を確実に侵食しています。XiaomiOPPOvivo.comHUAWEI 5-2. 「隣接カテゴリ」での独走DJI Osmo Pocket 3は1インチセンサー×3軸ジンバルの“ポケット・シネ体験”。Insta360 Ace ProはLeica共同開発を掲げ、AI編集/大判センサーでアクション&Vlogの両取り。この**“コンデジ的に使える非コンデジ”**を、中国勢が牽引しています。DJI OfficialInsta360 5-3. レンズ・光学エコシステムの台頭LAOWA(Venus Optics)、Viltrox、TTArtisanなど中国系レンズメーカーは、ユニークな光学やコスパでミラーレス市場の裾野を拡張。これはコンデジそのものではないものの、「スマホ→ミラーレス」の流れを加速し、結果的に中間価格帯コンデジの余地をさらに狭めます。venuslens.netlaowa.jpViltrox Storeviltrox.com.cnttartisan.com 5-4. 中国市場の需要回復CIPAの地域統計では、2023年の対中出荷が前年比124.7%と突出。“スマホ全盛でもカメラ需要の復権”が見えるエリアで、Gen-Zによる“Digicam”再評価の世界的トレンドとも整合的です(※流行の要因は複合)。CIPAThe Verge 6.文化の反転:レトロ・コンデジ“Digicam”の帰還CCD時代のコンデジを好む若年層のムーブメントはTikTok/Instagramで持続中。「綺麗=正義」から「質感=作風」へ。画質の絶対値ではなく、ざらつき・転び・色癖を“作品の声”として選ぶ流儀が、中古市場の再活性まで生んでいます。The Verge 7.数字でみる“縮退”と“残存”
8.「買うなら何を?」2025年の実務ガイド
9.反証も踏まえた結論
総括: 「ビジトレ!」編集部 |